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『R帝国』 中村文則

本書は作者中村文則(1977年、愛知生まれ)の18冊目の本だそうです。私の読んだ彼の本はこれが3冊目です。本書は『教団X』と似たような重量感を持っています。
http://wako1202.blog50.fc2.com/blog-entry-827.html

作者中村は「作家として覚悟を持って書いた」と語っています。さらに執筆動機を「現在が右傾化しているという危機感があるからです。フェイクニュースであるとか、メディアの委縮、ネット上の差別などがものすごく広がっているなかで、作家として何ができるだろうと考えて、こういう小説になった。」そうです。

表題の裏ページに「人々は、小さな嘘より大きな嘘に騙されやすい」というアドルフ・ヒトラーの言葉が引用されています。

「舞台は、近未来の架空の島国・R帝国。ある日、矢崎はR帝国が隣国と戦争を始めたことを知る。だが、何かがおかしい。国家を支配する絶対的な存在”党”と、謎の組織「L」。やがて世界は、思わぬ方向へと暴走していく――。世界の真実を炙り出す驚愕の物語。」

絶対権力の「党」に支配された島国・R帝国は国民の圧倒的な支持のもとに他国との戦争を繰り返している。R帝国は民主主義国家を標榜するため、野党もあるが、実態は与党R党が99%を占める独裁国家だ。街には防犯カメラが設置され、常に国民は国家から徹底的に監視されている。党の施策に疑問を呈すれば、巧妙な情報操作で排除されていく全体主義の管理社会だ。ジョージ・オーウェルの『1984』を思わせるデストピア小説です。
http://wako1202.blog50.fc2.com/blog-entry-796.html

「朝、目が覚めると戦争が始まっていた」という一文で始まります。AIが搭載された携帯電話HP (Human Phone) は自ら意志を持ち、会話することができます。

本書の主人公は矢崎とアルファ、栗原とサキ、二組の男女とHP。
R帝国最北の島コーマ市に暮らす会社員の矢崎は突然街はY宗国による激しい空爆に襲われ、原発が占拠された。大勢の人が虫けらのように殺される。矢崎はそんな中、Y宗国のテログループの女兵士アルファに助けられる。

一方首都では弱小野党の議員片岡の秘書、栗原が地下組織「L」のサキと出会うが、国家の策謀に巻き込まれて行く。 

R帝国の「党」の主要人物である加賀が「人々が欲しいのは、真実ではなく半径5メートルの幸福なのだ」と繰り返し言う。「党」は移民を軽蔑、差別し、ヘイトスピーチにより憎悪を掻き立てる。コーマ島が占拠され、原発が破壊される。

登場人物の姓は日本人の名前だが、「日本」という国は小説に出てくる国であり、舞台はR帝国だ。加賀は栗原に小説の中の日本国ではかつて沖縄戦があったと沖縄戦の国家の非道さと悲惨さを語る。

本書に登場する全ての国々はアルファベット1文字です。きっと意味があって作者がつけていると思いますが、このR帝国のRはRound(日の丸)、地下組織のLはLibertyかなと思いました。

それに加賀のような悪の非道な人物をもっと魅力的に描けていれば、SF的ディストピアもさらにリアルに感じられたと思います。


絶対多数の自民党が森友学園のような教育方針を推奨し、次々に戦前へ回帰するような法案を通してきています。R帝国の国民を監視する管理社会がもうそこまできているようで、背筋がゾッとしてきます。孫たちの時代は平和で、自由に自分の意見の言える社会でなければなりません。今私たちに何ができるでしょうか。


『教団X』も、本書も面白かったのですが、読売新聞の連載小説だったからか、エンターテイメントに傾きすぎているように思いました。
本書だけではなく、近年ディストピア小説がよく書かれ、読まれていますが、どれも、ジョージ・オーウェルの『1984』には及びませんね。

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

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