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『 i  アイ 』 西加奈子

「i」 、iの点と縦棒の間にカナカナで「アイ」と入れられている変わった題名。著者は西加奈子です。

西加奈子の本を読むのは直木賞受賞作品『サラバ!』についで2冊目です。

西加奈子は1977年生まれ。父の赴任先イランのテヘランで生まれ、エジプトで幼少期を過ごします。キーワードとして並べてみると 出生から青年期まで、中東生まれ、美形、養子、東日本大震災、友情など、『サラバ!』との共通点が見られます。

「「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。ある「奇跡」が起こるまでは―。「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!」と書かれています。

「この世界にアイは存在しません」。このフレーズはなんども繰り返し、出てきます。
高校の数学で習う虚数「 i 」で、実数ではない複素数。i×i=-1。

アイの父親はアメリカ人、母親は日本人です。アイは1988年シリア生まれ。裕福で自由で慈愛深いこの両親にもらわれた養子で、血の繋がった実子ではないのです。誕生後ほんの数カ月で、ニューヨークに住むこの夫婦の元にやって来ました。そして、アイは何不自由なく愛しまれて、育てられました。

アイは聡明で繊細な叱れることのない「いい子」でした。どうして自分がこの家の養子として選ばれたのかと、「養子」であることをずっと意識し続け、恵まれた環境の置かれたことに罪悪感を感じています。

家族とともに中学生から東京に住むことになります。高校でミナという親友ができます。アイはスマトラ地震で、22万人もの人が犠牲になったことを忘れないよう、それ以後、世界の大きな事件や事故で何人がなくなったか、ノートに記録するようになります。

ミナは高3の時にアイに自分がレスビアンであり、遠距離の恋人がいることを打ち明けます。

アイは数学に魅せられ、国立大学の数学科に入学し、数学に打ち込みます。
両親にはそれぞれの家族があり、ファミリーツリーが描かれています。しかしアイ自身は養子で、出自がわからない根無し草。

マイノリティーのアイとミナ。そうじゃなくても自分探し期の青春時代は傷つきやすく、生きていくのがしんどい。
I 、私は何者?
こんな本を40歳の作者が書きました。私自身は大人になって以来、楽しかったけど、苦しかった青春時代に戻りたいとは思わないのです。

300ページ足らずの会話の多い作品で、すぐ読めます。読んでみてください。

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

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