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『羊と鋼の森』 宮下奈都

著者宮下奈都は1976年福井生まれ。本書で直木賞、本屋大賞を受賞

本書は240ページの軽めの本です。主人公はピアノ調律師、今時こんな青年がいるのかしらと思うほど、純で爽やかです。

「ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。」

ピアノの弦が鋼、その弦をたたくハンマーは羊の毛から作られたフェルトでできています。
主人公外村は森の中の集落で育ち、高校進学のために山を下りた北海道の高校2年生。そこで,初めて調律師板鳥に出会う。そして外村は北海道を出て調律師の専門学校で学び、故郷の板鳥の働く楽器店に就職するのだ。

そして板鳥は外村に言う。「焦ってはいけません。こつこつ、こつこつです」

「美しいものを前にしても,立ち尽くすことしかできない。(中略)美しいと言葉に置き換えることで,いつでも取り出すことができるようになる。(中略)きっと僕が気づいていないだけで,ありとあらゆるところに美しさは潜んでいる」美を意識する瞬間。

調律師として出向いた家で双子の高校生に会う。情熱的な静かなピアノを弾く姉と明るい生き生きした音を出す妹。

「調律師にもいろんな人がいる。やり方もいろいろだ。(中略)いい音はいい。どんな音が欲しいかと聞かれて正確に表現できるお客さんなど滅多にいない。それならば,こちらからいい音を提示してしまう方が早い。たいていはそれで満足してもらえる。」

外村は純粋にいい音を求めて模索していく。先輩の板鳥は有名ピアニストから指名されるあこがれの調律師だ。彼は原民喜の理想とする文体を外村に教える。「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしい深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」

素敵な表現だ。

「自分が迷子で、神様を求めてさまよっていたのだとわかる。(中略)神様というのか、目印というのか。この音を求めていたのだと思う。(中略)この美しい音に導かれて僕は歩く。

ピアニストを目指していた調律の先輩,秋野は言う。
「才能がなくたって生きていけるんだよ。だけど、どこかで信じてるんだ.一万時間を越えても見えなかった何かが、二万時間をかければ見えるかもしれない。早くに見えることよりも,高く大きく見えることの方が大事なんじゃないか」と。

我が家にも私が習い始めたときから(習っても上手にならなかったピアノ)、息子が大学生のころまで、長いこと同じ調律師が調律してくれたピアノがありました。調律の時、音の注文をしたことはなかったような気がします。この音が小さいとか響かないとか、鍵盤がちゃんと上がってこないといったようなことしか言わなかったように思います。

今も調律師さんの顔を覚えていますが、どうしていらっしゃるのでしょうか。私のピアノを下取りにして、新しいピアノが我が家に来たのは息子が大学に合格したときでした。今、そのピアノを息子の長男ゆうたんが弾いています。新しい調律師さんが来ているそうです。

爽やかな読後感でした。今やっている写真の世界に思いを馳せて読みました。

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

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