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『ゆうじょこう』村田喜代子

著者村田喜代子は1945年、福岡八幡の生まれ。87年、『鍋の中』で芥川賞受賞したのをきっかけに『白い山』で女流文学賞、『真夜中の自転車』で平林たい子賞、『望潮』で川端康成賞などを受賞しています。本書で読売文学賞を受賞しました。

「貧しさ故に熊本の郭に売られた海女の娘イチ、郭の学校、女紅場(じょこうば)で読み書きを学び,娼妓として鍛錬を積むうち,女たちの悲哀を目の当たりにする。妊娠するもの,逃亡するもの、刃傷沙汰で命を落とすものや親の更なる借金のために転売されるものもいた。しかし,明治の改革の風を受け、ついに彼女たちはストライキを決意するー過酷な運命を逞しく生き抜く遊女を描いた。」

目次がほとんどひらがなです。
「なみの上」
「へ(灰)がふっ(降る)とおもいだす」
「いやい(蟻)が ないておりも(申)した」
「じ(地)のそこがほげもした(抜け申)」
「しろい ち(血)ば すい(吸い)もした」
他「あたいは たちいお(太刀魚)に なりもした」
「しょうぎ(娼妓)に おやは いりませぬ」
「なみの上で しにまする」などがあります。

イチは女紅場という廓の学校で勉強し、文字を覚え,自分の気持ちが綴れるようになるのです。
時にひどく殴られ、血を流し、娼妓となるわけですが、村田の筆致にはじとっとした湿り気はありません。三島由紀夫の『潮騒』のように、海の娘の素朴な逞しさ,賢さがあるのです。廓という状況下なのに、誰を恨むわけでもなく、前へ進もうとする強さがあるのです。

イチは硫黄島から熊本の東雲楼という大きな郭に売られてきた15歳の娘。時は明治36年。着いた日に他の3人の娘と同様、楼主に股を割られ,検分された。うりざね顔で、海で鍛えた美しい体を持つイチは高い値でこの東雲楼に売られてきたのだ。ここでは国訛りは御法度。イチは「こけー、こー(ここへ来い)」「こー、けー(これをください)」とニワトリのような声を出す娘だった。

しばらくはまだ店には出ず、東雲楼随一の花魁、東雲の部屋子となり、化粧の仕方、言葉遣い、立ち居振る舞いを学ぶことになった。

寝床のおける性技も、遣り手婆から特訓を受け、午後は女紅場で勉強。そこには元士族の娘で没落し,元娼妓だった鐵子さんがお師匠さんとして娼妓の暮らしに必要な言葉、文字、計算などを教える。明治34年開校。この廓、女紅場は実在したという。

イチの日記
じょうり(草履) はくの わすれて
いぬ、ねこだと 言われました
あたいの おとさん おかさん
しまでは はだしで あるいている
あたいは ここで じょうり はいている
じょうりを はいたら にんげん でしょか

このイチの日記がとてもいいのです。これは作者が創作したものなのでしょうか。資料から見つけたものなのでしょうか。

50がらみの男の初穂刈り イチは「痛て、痛て」と目を見開き、涙を流す。そしてイチは「はつほのばんにじだ(地面)がほげもした」と綴るのだった。

お師匠さんの鐵子さんは福沢諭吉の『新女大学』を読み、発奮したり,腹に据えかねたりしている。諭吉の女子への公平な愛というものは身分のある家の婦女子だけに注がれていることがわかり、腹を立てる。吉原で年季明けまで働き,稽古を治め、東京帝大の理学士と結婚しベルリンで暮らす友達もいたという。

鐵子さんは太陽が一番偉いと娘たちに教える。父母のため,親孝行のためという名目で、ここにいる娘たちは売れてきたが、お天道様のために売られることない.ただ恵みの光を注ぐだけだと語る。

花魁の紫が妊娠し、出産したが、子供を手放さず、東雲楼にも戻らず、姿を消した。

そんな頃、造船所でストライキが起きた。東雲楼の女郎たちも待遇改善を訴えてストライキに入る。
「たばこのね、さげれ」
「客のない日も ばんめしくわせ(食わせろ)」
と項目を並べ、紙に書いた。これに花魁の東雲さんも加わることになる。

お師匠さんの鐵子さんが樋口一葉のように賢く、全体を引き締め,引っ張って行くのですが、この鐵子さんが描写がもっと少なかったら、どうだっただろうかと思いました。

この作者の本をもっと読みたいと思いました。

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

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