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『銀漢の賦』by 葉室麟

時代物はあまりに時代知識が乏しくて語彙でも引っかかるので、滅多に読まないのですが、勧められて、年越しで読みました。面白かったです。

著者葉室麟(1951生)は福岡県出身。2005年作家デビューとのこと。遅咲きの作家ですね。4回直木賞の候補となり、5回目の2012年『蜩の記』で直木賞受賞。本書は2007年発行。

「寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。第十四回松本清張賞受賞作。」

静謐で格調高い文体で書かれています。時に漢詩がストーリーのキーになっています。(漢詩も苦手なのですが、その解説も書かれています)大和言葉もたおやかでいいのですが、やはり漢語は文をきりっと引き締めます。

幼少の頃から頭脳明晰だった小弥太(後の将監)が、祇園祭りの夜に源五と百姓の倅十蔵に「銀漢」という言葉を教えます。銀漢とは天の川という意味です。十蔵は小弥太の筆によるこの漢詩で手習いをし、ひそかに勉学に続け、本を読み、農民から厚い信頼を得ます。のちに百姓一揆の首謀者となって、家老となった将監によって刑死させられるのです。

蘇軾の「中秋月」
暮雲収盡溢清寒  暮雲 収め尽くして清寒溢れ
銀漢無聲轉玉盤  銀漢 声無く 玉盤を転ず
此生此夜不長好  此の生 此の夜 長くは好からず
明月明年何處看  明月 明年 何れ(いずれ)の処にて看ん

そして源五は天の川を見ながら、「頭に霜を置き、年齢を重ねた漢(おとこ)も銀漢かもしれない」と思うのです。

口数の少ない源五は出世欲もなく、ひたすら己が信ずる道を進むまさに時代劇の男です。とにかく格好いい。これを読みながら高倉健を思い浮かべていました。

本書は昨年1月にNHKで『風の峠〜銀漢の賦』と題してテレビ化されたそうですが、読み終わってブックカバーを外すまで気がつきませんでした。源五は中村雅俊だったそうです。そして将監は柴田恭兵。ん〜。。。

あらすじ
日下部源五は藩の郡方(地方役人)で、新田開発のため、精魂傾け命懸けで治水工事を行った。鉄砲方であり、居合いの達人でもある。松浦将監は文武両道で、七弦琴を弾き、絵をたしなむ。妻の姉がお世継ぎの生母となり、十蔵たちの百姓一揆をも利用して政敵を追い落とし、藩の家老職にまでのぼり、やがては藩主との確執から職を退いた。

十蔵の処分を巡って、源五は将監に絶交状を送り、十蔵の妻子を引き取って、世話をしてきた。そんな二人が50歳を過ぎ、30年ぶりに再会する。

死の病を得た将監から、藩主の幕閣入りの願望に伴う藩替えを危惧した話しを聞いた源吾は、その将監の願いを叶えるべく、自分の命を賭して将監の脱藩に手を貸すことになります。そこには亡き十蔵の娘蕗も加わります。

将監が死の直前に源吾のために書いた絵の画賛に蘇軾の「玲瓏山(れいろうざん)に登る」が書かれています。

何年僵立す両蒼龍(なんねんきょうりつすりょうそうりゅう)
痩脊盤盤として尚空に倚る(そうせきばんばんとして なおそらによる)
翠浪舞い翻る紅の罷亞(すいろうまいひるかえるくれないのひあ)
白雲穿ち破る碧き玲瓏(はくうんうがちやぶるあおきれいろう)
三休亭上工みに月を延き(さんきゅうていじょう たくみに つきをひき)
九折厳前巧みに風を貯う(きゅうせつがんぜん たくみに かぜをたくわう)
脚力尽きる時山更に好し(きゃくりょくつきるときやまさらによし)
有限を将て無窮を趁うこと莫れ(ゆうげんをもって むきゅうをおうこと なかれ)

最後は「限りある人間の身で無窮の美をこれ以上、追い求めてはいけない」という意味だそうです。

温かい余韻の残る本でした。
この作家の他の作品も読んでみたいと思いました。

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

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