プロフィール

wako1202

Author:wako1202
FC2ブログへようこそ!

進行中の趣味:写真、旅行、水泳、読書
中断中の趣味:ダイビング、書道

Nest: 横浜

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

Welcome from 020311

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

月別アーカイブ

『消滅世界』村田沙耶香

村田沙耶香の本を読むのは初めてです。千葉県出身、1979年生の若くてきれいな作家です。

『殺人出産』(未読)が評判になったようですが、この『消滅世界』(『文藝』秋号)も出産、性にまつわる近未来小説です。ジョージ・オーウェルの『1984』が思い出されるディストピア小説です。『1984』のような暗い不潔な世界ではなく、むしろガラスの中の陰のないクリーンな世界といった感じです。


戦争により極度に子供が少なくなり、その対策として人工授精の技術が飛躍的な進化を遂げた。戦後も人工授精が通常化し、高等な人間は交尾(性交とは呼ばれない)で妊娠する例はめったになくなった。主人公の雨音は愛し合う両親の性交渉から生まれた。母親はそのことに最大の価値を置き、ひたすら娘に洗脳教育をする。しかし、雨音は小学校の性教育の中で自分の出生を学校中に知られることになり、いじめにあったりしている。

雨音はアニメの主人公にも友達にも恋をし、それぞれとセックスをして、成長し、今の自分になったと思っている。初潮があったり、精通があったら、子供たちは避妊手術を受けることになっている。だからセックスをしても妊娠につながることはない。

家族間では夫婦であっても「交尾」は「近親相姦」と呼ばれて禁止されている。恋愛と結婚と出産は完全に切断されている清潔な世界なのだ。雨音も最初の結婚で夫に性的関係を求められ、嫌悪し、離婚している。

雨音と朔は温かい家庭を築いていて、母親のごとく相手を包んでいる。添い寝をしても、他人なのに性的感情を持つことはない。この『消滅世界』では夫婦には最初から性的関係はなく、長く一緒に生活を共にするパートナーとして選ばれる。恋人は結婚の対象にはならない。

それでは夫婦はなぜ他人じゃなければいけないのか、なぜ同性の友達や兄弟姉妹ではいけないのか。この部分をもう少し掘り下げるとさらに深みが出たのにと思う。

現代は通常は自然妊娠だが、不妊治療で妊娠する人は増え続けている。その形態に法律も追いつかない。夫婦間に性交渉がなく、兄弟姉妹のよう、友達のような夫婦も多いという。

婚外恋愛は推奨され、雨音もその夫、朔も外に恋人がいる。夫は恋愛に苦しんだりしている。その恋愛も、セックスがある場合もない場合もあるが、雨音は体がつながった時のこの安心感を感じて、肉体的に結ばれるのが好きだ。だが、雨音の恋人はセックスが辛いと言って雨音に別れを告げる。

人とのセックスとマスターベーションは所詮同じなのではないかと雨音は思う。

雨音と夫は実験都市千葉に移住する。成田で入国管理以上のチェックを受けてから、千葉に入る。そこでは男性も出産も可能になり男女平等に人工授精が行われ、男性は妊娠すると人工子宮をぶら下げて出産を待つ。そこで産まれた子は同じ服を着て、すべて「子供ちゃん」と呼ばれて、大人はすべて「おかあさん」と呼ばれる。人工授精によって子供は産むけれど、出産するとすぐセンターに預けてしまうので、自分の子供という概念がない。みんなの子供であり、みんなのお母さんなのだ。そしてみんな同じ表情をしている。

性的関係、家族関係が次々と「消滅」していき、種の保存としての再生産が行われる。この「子供ちゃん」に注がれる愛情。
「家族」とは、「夫婦」とは、「子供」とは何なのか。

「世界はグラデーションの途中でしかない」

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

<< 大山 絵灯籠 | ホーム | 『イスラーム国の衝撃」池内恵 >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 ホーム