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『1984年』by George Orwell

著者 ジョージ・オーウェルは1903年インド生まれのイギリス人。本書は1947年の著者最後の作品です。近未来小説ですが、現在から見れば舞台の1984年はもうすでに30年前の過去となります。解説によれば、オーウェルの政治的立ち位置は全体主義に反対し、民主社会主義を擁護するものだと述べられています。戦後の社会主義(スターリニズム)に対する絶望が執筆動機のように思えます。

村上春樹の「1Q84」の本歌となる本で、ずっと読んでみたいと思っていました。しかし読了に長〜くかかってしまいました。最近本書が再び注目を浴び、引用されています。

「戦争は平和なり」、「自由は隷従なり」、「無知は力なり」は本書の党の3つのスローガンで、党員は「二重思考」が必須である。現在の英語はオールドスピークと呼ばれ、「ニュースピーク」という思考を行えない語彙数の少ない言語を使用しています。

ディストピアの世界。ディストピアとは、ユートピアの反対概念で、天国と地獄。徹底した全体専制主義の地獄の世界。処刑、拷問、見せしめなど。

1984年におけるディストピアはどんな世界か。1950年代に発生した核戦争を経て、1984年現在は世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つの超大国によって分割統治されており、相手を替えながら絶えず戦争が繰り返されている。作品の舞台は南北アメリカ大陸とイギリス、オーストラリア、アフリカの南部を領土とするオセアニアで、思想・言語・結婚などあらゆる市民生活に統制が加えられている。

読み始めはこの実際に使われている「オセアニア」という言葉に振り回され、理解を妨げられました。

暗い薄汚い社会で、物資は欠乏し、市民は常に「テレスクリーン」と呼ばれる双方向テレビジョンによって屋内・屋外を問わず、ほぼすべての行動が当局によって監視されている。

政府である党の権力は絶対で、過去すら党自ら、主人公ウィンストン・スミスら党員によって常に書き換えられていく。
「二重思考」ができないなら、「思考犯罪」を犯したものとみなされる。彼は過去すら変える党の異常性に気づいて密かに日記を書き綴る。見つかったら処刑される。彼にジュリアという恋人ができるが、その隠れ家も見つかり、拷問にかけられ洗脳される。この恋人との時間のみがリアリティがある。

1984年は階級社会で、党の中枢部と党外郭部(主人公所属)に、考える術など身につけたこともない「プロール」と呼ばれる労働者。それぞれの階級間にはほとんど接点がない。プロールたちはひたすら肉体労働に従事し、党があてがう、考えることのない低俗な音楽や娯楽を享受している。しかし、党員のようには監視されていない。産業革命前の貧民街の労働者のようだ。

ウィンストンはこのプロールたちがこの硬直した地獄のような世界を解放する唯一の希望だと書いている割にはこのプロールたちとの接触もなく、詳細な記述もない。そして作者の思い入れも乏しいようだ。

党中枢にいる「二重思考」の体現者たるオブライエンが、手の込んだ方法で彼にオセアニア革命を起こすための本を渡す。読者もこの部分(真ん中あたりにゴシックで書かれている)を読んで初めてオセアニア国の成立過程、制度、状況を理解する。

巻末に著者による「附録 ニュースピークの諸原理」があり、ニュースピークがどんな言語なのか詳述されている。

教育、洗脳の恐ろしさが存分に描かれていて背筋が寒くなる本です。なぜなら妙にリアリティがあるからです。2+2=5と言い含められる恐ろしさ。

『1984』と『1Q84』、前者に軍配が上がります。

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

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