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『LOVELESS ラブレス』by 桜木紫乃

『ホテルローヤル』に続く、桜木紫乃(1965)の「ラブレス』(2011)を読みました。しみじみとした余韻の残る、何とも味わい深い作品でした。読了後、いつまでもこの百合江の人生、百合江の家族の世界に浸っていました。そして、もう一度後半部分を読み返してしまいました。

桜木は2013年『ホテルローヤル』で直木賞を受賞したが、本書はその前年度直木賞候補となった作品。

「謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた――。彼女の生涯はまさに波乱万丈だった。道東の開拓村で極貧の家に育ち、中学卒業と同時に奉公に出されるが、やがては旅芸人一座に飛び込んだ。一方、妹の里実は道東に残り、理容師の道を歩み始めた……。」

現在の出来事から始まり、過去にさかのぼり、現在と過去が交錯しながら展開されるので、始めは人間関係が分からず読みにくい。まず、序章、舞台は『ホテルローヤル』同様、釧路。序章にこの作品のすべてが凝縮されている。

清水小夜子(百合江の妹里実の娘だが、夫の愛人の子、市役所勤めで45歳独身で、妊娠中)と従姉の杉山理恵(百合江の次女、新人小説家、札幌在住)。二人とも母親とは疎遠になっている。そんな理恵が母親百合江と連絡が取れないと小夜子に連絡し、里実と一緒に百合江の部屋へ行くと、百合江は病の床に臥せっていて、もう話ができない。百合江は「杉山綾子」の位牌を握りしめていた。そして、そこには一人の老人がいた。という場面から始まる。

二人の従姉同士は百合江の病床で「百合江は不幸そうな感じがしない」と話す。

極貧の北海道の開拓暮らし。百合江、里実の母ハギは文盲で、父親は酒浸り、3人の弟があり、7人の地を這うような暮らし。そんな暮らしの中、百合江はドサ周りの旅芸人一座の歌手に憧れ、弟子入りを切望し、奉公先を飛び出す。数年後その一座が解散し、女形の宗太郎と東京へ出て流しをし、旅生活を送る。だが、百合江が身ごもり、出産する段になると、縛られた生活のできない宗太郎は姿を消し、百合江は釧路の妹里実の元で出産する。(その子が位牌の綾子)その後里実の口利きで綾子を連れて再婚し、次女理恵を生むや離縁される。出産のため夫に預けた綾子が消える。泣き暮らした中で立ち上がり、一人で旅館で仲居をしながら歌を歌って祝儀を得たり、仕立てをしたりして、娘理恵を育てる。

妹里実は利発で口八丁手八丁のやり手だが、母ハギも百合江も必要なことすら言わない、語らない。ひたすら目の前のみを見て働き続けた。百合江は父が死んだ時、ハギを引き取る。そのハギは孫理恵に字を習い、理恵にだけ自分を語る。

旅一座の座長は宗太郎を柳のように折れず、「たくましくどんな強い風にもしなやかに吹かれてくれる」という。私には先のことは考えられない百合江こそ柳のようだと感じる。百合江は自分が不幸かどうか考えるよりも先に、その都度、日々に折り合いをつけて、懸命に生きる強さがある。そして、私はなぜかそういう人が好きだ。

百合江の人生に次々と大波が襲う。本書の最後のまとめはちょっとやり過ぎ。いくら何でもねえという感じ。それから3人の弟が何ともひどい。女(百合江と里実)は極貧の家から出られたから、人間性を失わずにすんだが、貧困に縛られた長男はとこんなに荒んでしまうといっているのか。最後の結びが納得できるもので、さらにもう少し枝葉が切り落とされていれば、本書が直木賞を取ったのではないだろうか。

それにしても、なぜタイトルが「LOVELESS」なのかな?
とにかく、お読みになってみてください。

作者桜木は開拓三世。百合江たちが暮らした開拓小屋は桜木のおばあちゃんの家そのままだそうです。この作者にとても興味があります。

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

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