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『海鳴り 上 下』by 藤沢周平

『海鳴り』は藤沢周平(1927生)の作(1984年)ですが、下級武士ものではなく、江戸町人の世話物です。

「初めて白髪を見つけたのは、いくつのときだったろう。骨身を削り、果てに迎えた四十の坂。残された日々は、ただ老い朽ちてゆくばかりなのか・・・・家は闇のように冷えている.心通じぬ妻と、放蕩息子の跡取りと。」

紙商小野屋新兵衛(46歳)と丸子屋のおかみおこうとの恋の道行き。結婚も出産も早かった江戸時代のお話で、今の時代なら50代後半から60ぐらいというところか。

藤沢の作品は人生の機微、陰影を描き、黄昏の哀歌を静かに歌う。

「懸命に守って来たつもりのものが、この程度のもので、あとは老いと死を迎えるだけかと思ったとき、それまで見たこともない、荒涼とした景色を見てしまったのである・・・」

偶然の出来事から紙問屋の新兵衛は紙問屋大店丸子屋のおかみ、おこうを助けた。新兵衛は、今まで懸命に築き上げた商売は思うに任せず、ひとり息子は家の金を持ち出して女遊びに狂い、家を出た。おこうは子がなく、夫との間に愛もなく、家に居場所がない。そんな二人の出会いを落ち目の仲間に強請られ、かえって二人を結びつけ、人目を忍ぶ恋に落ちる。
 
下巻
「この人こそ、生涯の真の同伴者かも知れない。家にはびこる不和の空気、翳りを見せ始めた商売、店を狙い撃ちするかのような悪意ーー心労が重なる新兵衛は、おこうとの危険な逢瀬に、この世の仄かな光を見いだす。しかし闇はさらに広く、そして深かった」

「考えてみれば、家などというものは、女房だ子供だと言っても、所詮はお互いに口には出せない秘密のもの思いを胸に抱えた、孤独な人間の寄り集まりに過ぎないようでもあった。それぞれが本音をさらけ出してしまえば、家といえどもこわれずにいない」

「おれは途中から、ひどく間違った道に足を踏み込んだのではなかったかという気持ちがちらとした。ひとは、いや少なくとも一家を背負う男というものは、家の中に多少の不満があってもじっとこらえ、こわれればとりあえず繕って、何度でもそうして、辛抱づよく家を保ちつづけるべきものなのだろう。なぜなら家は、男にとってしあわせをもとめつづけた歳月の、どのような形であれ実りであり、証しであるからだ。その家と妻子を捨てるとき、男はそれまで生きて来た自分の歳月も一緒に捨てなければならない。」

終盤はドラマチックな展開になっていくが、私はこの本にはこうした派手な展開は無用に思う。現状に踏みとどまる男の陰影を描いてほしかったな。

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

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