FC2ブログ

プロフィール

wako1202

Author:wako1202
FC2ブログへようこそ!

進行中の趣味:写真、旅行、水泳、読書
中断中の趣味:ダイビング、書道

Nest: 横浜

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

カレンダー

11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

Welcome from 020311

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

月別アーカイブ

『マークスの山』 高村薫

今夏は暑くて、お彼岸になっても彼岸花がまだ蕾。巾着田の曼珠沙華もやっと今頃早咲きが見頃になったそうです。

以前から読みたいと思っていた高村薫(1953年大阪生まれ)の本書を娘の本棚から見つけました。
高村の作品を読むのは『土の記』に続いて2冊目です。先に『土の記』を読み、感動したので、この『マークスの山』も『土の記』と同系統の本だろうと思い込んで読み始めました。サスペンス(刑事物)だと思ってもいませんでした。

1ページの文字数が多く、漢字も多くて、ページは真っ黒です。面白いのになかなか読み進められませんでした。目が悪いからか、読む速度が格段に落ちています。

文庫の上巻に
「俺は今日からマークスだ!マークス!いい名前だろう!」ー 精神に<暗い山>を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか?姿なき殺人犯を警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品(1993年)。」

下巻に
「殺人犯を特定できない警察をあざ笑うかのように、次々と人を殺し続けるマークス。捜査情報を共有できない刑事たちが苛立つ一方、事件は地検にも及ぶ。事件を解くカギは、マークスが握る秘密にあった。凶暴で狡知に長ける殺人鬼にたどり着いた合田刑事がみたものは・・・・・。リアルな筆致で描く警察小説の最高峰」

私が読んだ文庫は単行本から改編されたものだそうです。

表紙の次に「元警視庁刑事 故鍬本實敏氏へ」と書かれています。鍬本氏に取材し、合田像を作り上げていったのでしょう。刑事像がリアルです。

本書は
1 播種 2 発芽 3 生長 4開花 5 結実 6 収穫となっています。

序章として殺人犯マークス水沢の頭を去来する山からはじます。「山だ。黒一色の山だ・・・」

それから昭和51年秋 場面は山梨県の南アルプス。そこの飯場で働く岩田が酒を飲み、夢うつつで聞いた夜明けの物音。自分の元を去った妻が獣に化けたと思って振りかざしたスコップで登山者を殺してしまうところから事件は始まる。
さらにこの北岳周辺で心中死体や白骨死体も発見される。この白骨死体は誰なのか。犯人は誰なのか。

昭和57年秋
精神病棟に入れられた水沢と看護師真知子との出会い。マークスは病棟で患者を虐待する男性看護師を殺害する。

平成元年夏
白骨死体発見。岩田が自白。この自白の信憑性はあるのか?

平成4年春
水沢マークスと飯場の犯人岩田は刑務所で出会う。これがどのように展開するのか?

平成4年10月1日
水沢出所。水沢は看護師の真知子のところへ行く。

10月5日
次々に殺人事件勃発。ここまでが第2章の始め。それから12日間の捜査でびっくりするような事実が出てきます。

*****
まず、主人公の合田雄一郎が実によく描かれています。合田の仕事に対する姿勢、昼夜を徹して行われる捜査のなかで、同僚、上司、部下との関係も詳細にリアルに描かれています。別れた妻、友人でもあり妻の双子のきょうだいの加納(検事)との関係やバックミュージックのように流れる合田の孤独感もなかなかいいです。

「こんな状態は今夜が最後だ。明日にはお前は元の合田雄一郎だ、と自分を叱咤し続けた。そうでなければ、俺はお前がもっと嫌いになる、と」

一方、殺人犯の水沢は精神異常者の犯罪ということですが、北岳近くでの一家心中の生き残りの子供で、両親を亡くし、一酸化炭素中毒による後遺症とPTSDによるものなのか、3年毎に入れ替わる暗い山と明るい山の躁鬱状態と、極度の健忘などが現れています。暗い山の時は頭を動かせず、眠っているようですが、明るい山の時は頭も体も活発に動くのです。水沢があまりに異常すぎて、ついていけない部分もあるのですが。

たくさん出てくる刑事の外見、行動、警察内部の様子、捜査1課の組織としての動き、職人のような刑事の仕事、個々人の性格描写が素晴らしいと思いました。(が、あまりに人数が多くて、登場人物をつかむまで読みにくかったです)

えっ。この展開はありえないと思うところはありましたが、作者の構成力、背景描写、人物描写、調査力は素晴らしく、脱帽です。スケールの大きい本でした。
「山とは何だろう」

私の読んだ2冊の本の共通点は現実と夢うつつの状態を行ったり来たりする点にあります。作者高村はこれによって何を表現したいのでしょうか。人間の不確かさか、危うさか?

長編ですが、一気に読むことをお勧めします。間が空くと時間経過と人間関係がわからなくなってしまいます。

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

<< 彼岸花 in 巾着田 | ホーム | 『キルプの軍団』 大江健三郎 >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 ホーム