ジャレド・ダイアモンドとノーム・チョムスキーの2人の名前に引かれて、この本を読み始めました。NHK出版新書
これはなにやら新聞のインタビュー欄のようです。
吉成真由美氏が現代の知の巨人とも言われる6人に行ったインタビューです。その抜粋は2010年8月から2011年12月までに雑誌『中央公論』に掲載されました。2012年に追加インタビューを行い、加筆、編集を加えたものと知って納得。
6名それぞれたくさんの著書があり、それに基づき、質問をしている訳ですがが、それぞれの本のダイジェストのようなもので、ここでさらにダイジェストをするなどできません。そこで、この6人の紹介を抜粋するにとどめたいと思います。
ジャレド・ダイアモンドー「文明の崩壊」(「 」は各章のタイトル)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授。ベストセラーとなった『銃・病原菌・鉄』著者で、「西洋の覇権が、民族の能力の違いのよるものではなく、単なる地理的な有利性の結果に過ぎない」「文明は、わずかの決断の誤りによって、もろくも崩壊する」と見抜いた。
「現在のように消費量の格差がある限り、世界は不安定なままです。ですから安定した世界が生まれるためには、生活水準がほぼ均一に向かう必要がある。たとえば日本がモザンビークよりも100倍も豊かな国であるということがなくなり、全体の消費量が現在より下がる必要があります。」
ノーム・チョムスキーー「帝国主義の終わり」
MIT名誉教授。言語学者、「すべての言語には共通する数学的な普遍文法があり、人はそれをあらかじめ持って生まれてくる」という生成文法を提唱した。ベトナム戦争以降、反戦、反暴力の姿勢を貫いて、「エリートは必ずや体勢の提灯持ちに堕する」と米国の覇権主義を批判してきた。
「生物学でノーベル賞をとるような人は、論文を片端から読むような人ではなく、何を探すべきか、何が大事か、ということがわかっている人です。(中略)世界事情も同じで、垂れ流しの情報があってもそれは情報がないのと変わりません。何を探すべきか知っている必要がある。そのためには、理解あるいは解釈の枠組みというものをしっかり持っていなければならない。」
チョムスキーの生成文法のさわりを勉強したことがありますが、難しかった。さわりだけだったからいけなかったのかな。。。
オリバー・サックス−「柔らかい脳」
コロンビア大学メディカルセンター脳神経科医、神経学、精神医学教授。『レナードの朝』の著者。
あくまでも個人に寄り添うことで脳障害のそれぞれのケースに、限りない深い個人の物語があるという。音楽は人を救う力があるといい、「人間の声には人生の記憶や感情を呼び戻す力があるという。
重要なことは先生と生徒の間のポジティブな関係だと思います。そして、もちろん情報を教えることも重要ですが、最も生徒を生き生きと興奮させるのは、先生の情熱です。(中略)もっと積極的に好奇心や想像力、心の自立ということを刺激するべきだと思います」
マービン・ミンスキーー「なぜ福島にロボットを送れなかったか」
MIT教授。人工知能の創設者。コンピューター科学者。「膨大なメモリー力にばかり頼って方向を誤ったために、役に立つロボットを福島に送ることができなかったと、現在のコンピュータ研究を批判する。
トム・レイトンー「サイバー戦線異状あり」
MIT応用数学科教授。ネットワークへのアルゴリズムの応用における世界的権威。数学者として、自らの理論を実践すべく、インターネットのインフラを一手に引き受けている。
私もレイトン教授の設立した会社「アカマイ社」(誰も知らないインターネット上最大の会社だそうだ)にサーチするたび、日々お世話になっているらしい。
ジェームズ・ワトソンー「人間はロジックより感情に支配される」
分子生物学者、ノーベル生理学、医学賞受賞。25歳でDNA二重らせん構造の解明と題するたった1ページの論文でダーウィンに並ぶ偉業を成し遂げた。科学という視点から、人間の本質を鋭く、現実的に見据える。
「本来、人はみなそれぞれ異なっているのに、同じだとみなさなければいけなくなってきている。同時に、あるもののほうが別のものよりもいいという言い方は避けて通るようになってきてもいる。だから、どの花も全て同じように咲くんだという。ごまかしです。」
特に面白かったのがチョムスキーとワトソンのインタビューです。6人に共通する「限りなく真実をもとめて」という姿勢。
推薦図書をそれぞれに尋ねていますが、答えた人と、答えられないと答えた人、またはSF以外の本は読まないと答えた人などがいました。
推薦図書の中からまたはその著書から読みたいと思ったのはダーウィンの『種の起原』とワトソンの『二重らせん』です。
科学に疎い私ですら、すぐ読めましたので、ぜひお読みください。
私はジャレド・ダイアモンドの『昨日までの世界』が入手できたので、明日から読もうと思っています。大作のようなので読了できるかな。。。
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