下書き保存しておいたはずが全部消えていました。
気を取り直して、、、
大作『ローマ人の物語』が中断したまま。その合間に芥川賞受賞作品『きことわ』を読みました。作者は西村賢太とダブル受賞をした朝吹真理子(1984年生れ)。フランス文学の名門の家系で、大叔母はサガン、ボーヴォアールの翻訳で有名な朝吹登水子。
朝吹真理子は博士課程の学生で、専門は近代歌舞伎だそうで、難しい言葉を使っているわけではないが、語彙が豊富で作品の構成がお洒落。
題名の『きことわ』は貴子と永遠子の二人の名前をくっつけて「きことわ」。貴子は8歳で葉山に別荘をもつ家の娘。永遠子は15歳で、そこの管理人の娘。貴子の母、春子が亡くなり、貴子の家族が葉山に来ることはなくなって会わなくなった。25年後別荘が処分されることになり、整理のためにふたりはその家で再会する。
現在と当時が交錯し、時が揺れ動きながら進んでいく。文は光を感じさせ、とても映像的だ。でも、これといったストーリーがないので、ドラマ化するような作品ではないと思う。
冒頭は「永遠子は夢をみる。貴子は夢をみない」という言葉で始まる。母親に会えないのは、自分が母親にみられている夢の人だからではないかと思う。「自分は夢にみられた人なのだから、夢をいつまでも見ないのではないか」と。
面白かったかと聞かれれば、「まさに芥川賞作品」とお答えしておきましょう。
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