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『タラント』角田光代

著者角田光代は1967年神奈川生まれ。『八日目の蝉』を読んだことがあります。『源氏物語』の完全新訳をいつか読んでみたいと思っています。

「タラント」は聞きなれない言葉です。聖書の中に出てくるタラントンという通貨の単位で、現在の才能や能力のタレントの語源になる言葉のようです。本の表紙は義足の人が棒高跳びをしているのが描かれています。

「こんな人生に、使命は宿るのか。片足の祖父、不登校の甥、大切な人を失ったみのり。絶望に慣れた毎日が、一通の手紙から動き出す。慟哭と感動の傑作長篇。」と書かれています。

主人公は山辺みのり。30代後半、下北沢にある菓子屋に務め、都内で夫と二人暮らし。実家は高知県のうどん屋。親族がそばに住んでおり、戦争で左足を失った祖父清美の世話をしながら、美味しいうどん屋を営んでいる。その祖父は戦争のこと、自分のことを多く語ろうとはしない。不登校になりかかっている甥、陸がいる。その甥も理由を語らない。

みのりは閉塞感を感じ、大学進学の折高知を離れ、上京する。滅多に帰郷しない。

各章の終わりに顔マークがあって祖父のらしい日記が挿入されている。

第1章は2019年そんなみのりの帰郷から始まる。周りは「強い希望で大学までいって、外に向かって大きく羽ばたこうとしたのに、できなかった。みんな自分をそうみていることをみのりは知っている」

第2章は1999年。みのりは第1志望の大学に合格し、緊張しながら、住まいを探し、サークルを当たり、履修届を出し、友達を作る。みのりはいろいろな大学からの学生が集まるボランティア関係の「麦の会」に入会する。

みのりはそこでジャーナリスト志望の宮原玲、写真の好きな遠藤翔太、後輩のムーミンとで出会う。

飲み会でみのりは「私に私の日常がふつうにあるように、人身売買から救われた子の日々もふつうにある。ふつうってこんなにも違うけど、でもその違いは断絶にならないんじゃないかって思ったの。ぜんぜん違う『ふつう』にいるからわかりあえないわけじゃないんだなって」と語る。

学生生活を送るみのりの元に時折祖父が上京する。みのりと甥の陸はどうやら涼香という女性からのたくさんの手紙を見つけ、上京は涼香に会うためなのではないかと思う。その涼香はパラリンピックの高跳びの選手らしい。

みのりたちは「麦の会」のスタディーツアーでネパールは行く。小さな出版社の務めたみのりは休暇を取ってアンマンの難民キャンプのツアーに参加する。それは難民を支援する市民団体と旅行会社が提携しているツアーだった。そこでみのりは正義感から思わぬ事態を引き起こしてしまう。

玲にも翔太にもムーミンにもいろいろな出来事が起きていく。

ボランティアとは? 奉仕とは? 援助とは? 使命とは?
みのりは「使命感というのは言葉を変えれば才能とも言えるのではないか・翔太にも玲にもある。でも、私にはない」と思う。

みのりと夫となる寿士との出会いがいいです。

大学入学、はるか昔のことなのに昨日のように思い出されます。今春孫が大学生になります。彼もこの本を読んでくれたらと思いました。

若い人に広がる未来。夢を見たり、挫折したり、、傷ついたりしても、それでも小さくならず、前を向いて生きて行って欲しいです。

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

能『船弁慶』

2024年2月22日(木)、能「船弁慶」を観ました。今回も事前講座が開かれたのですが、知らなかったので、出席しそびれ、会場にてあらすじを読みました。

渋谷能第3夜のサイト、プログラム参照
◆プログラム
解説:金子直樹

能「船弁慶」金春流

前シテ 静御前   金春憲和
後シテ 平知盛の霊:金春憲和
子方  源義経:  金春重芳
ワキ  武蔵坊弁慶:大日方寛 (下掛宝生流)
ワキツレ従者:   野口能弘
ワキツレ従者:   小林克都
アイ  船頭:   野村太一郎
笛: 杉信太朗
小鼓:鵜澤洋太郎
大鼓:安福光雄
太鼓:金春惣右衛門
後見:金春安明、辻井八郎、井上貴覚
地頭:髙橋忍 地謡 本田芳樹、本田布由樹、中村昌弘、政木哲司

[あらすじ]
源義経は平家討伐の立役者となるも、兄・頼朝と不仲になり、追われ西国へ落ちることを決意し、武蔵坊弁慶を筆頭に従者を引き連れ大物の浦(だいもつのうら・現兵庫県尼崎市西南の港)に到着します。愛妾静御前も同道していましたが、弁慶の才覚により、この先は静を都へ帰す事とします。静は伝えきき、義経に直接確認するといいです、御前に参上しますが、愛しき義経から別れを告げ得られ、落胆します。船旅に「静」は縁起が良いのにと嘆きますが、再会を願い、別れの盃を受け、義経一行の門出を祝し舞を舞い、静は心がすり減る思いの中、涙ながらに立ち去ります。
(中入り)
穏やかな海は荒々しさを増し、ついに暴風雨となります。義経に滅ぼされた平家の総大将平知盛の幽霊が海上に浮び上がります。長刀を振り回し義経一行を襲いますが、弁慶が数珠を持って一心に祈祷すると知盛の霊は苦しみながら再び海中へ消えてゆきます。

毎回解説の金子さんの弁舌爽やかなのこと。司会者、解説者はこうありたいと思うお手本のような素晴らしい話し方です。
シテ方の金春憲和(S57生まれ)さんは前シテ(静御前)、後シテ(平知盛の霊)という男女の二役です。
子方はまだ中学生ぐらいでしょうか。まだまだでこれからですね。

終了後着替えを済ませ、ワークショップが行われました。

背景も知っているし、とてもわかりやすい能でした。
能面は近くで見られる訳ではないので良さがよくわかりません。衣装はきらびやかです。私はお腹の底から声を出す地謡が好きなのだと感じました。

確定申告やら雑事を済ませ、備忘録としてやっと書く時間が取れました。

テーマ : 伝統芸能 - ジャンル : 学問・文化・芸術

『類』朝井まかて

この題名『類』は森類、森鴎外(森林太郎)の三男の名前です。

作者朝井まかては1959年大阪生まれ。
本ブログで2回紹介しています。
『グッドバイ』http://wako1202.blog50.fc2.com/blog-entry-1014.html と
『残り者』http://wako1202.blog50.fc2.com/blog-entry-1060.html

本書は500ページの大作です。明治の大作家、軍医で医学博士、文学博士である森鴎外の、貴族・華族のような華麗なる一族のお話で、途中まで『森一族』と題すればいいのにと思って読んでいました。

森鴎外の最初の妻との子長男・於菟(おと、医学者・随筆家)、2番目の妻志げ(しげ、小説家、鴎外より18歳年下)、長女・茉莉(小説家)、次女・杏奴(あんぬ・小堀杏奴、随筆家 夫・小堀四郎は画家)、それに本書の主人公・類までみんな文筆家です。

類の『鴎外の子供たち あとに残されたものの記録』を始め、子供達それに杏奴の息子・小堀歐一郎それぞれが鴎外の思い出を書き残しています。

類たち兄弟は千駄木の、花畑があり樹木の多い公園のような敷地に建つ大邸宅で、たくさんの使用人に囲まれて乳母日傘で育ちます。

鴎外は軍医としてドイツに4年派遣され、帰国後『舞姫』、『高瀬舟』などたくさんの小説を書き、軍を退いた後は東京、奈良、京都の国立博物館の総長を務め、60歳で死去します。鴎外は優しく、おおらかに子供を愛し、子供たちは「パッパ」を呼び父が大好きです。

子供達は美男美女で、絵も書き、芸術文化を愛し、そして優秀です。類を除いて。

類は1911年生まれ。森家の落ちこぼれで、勉強に向いておらず、中学2年で中退し、その後は母に画室を建ててもらい、姉の杏奴と共に藤島武二について絵を習い、杏奴とともにフランスに遊学します。そして30歳で安宅安五郎画伯の長女美穂と結婚し、四人の子をもうけます。

類はしっかり者の母、姉二人に守られ、結婚後は良くできた妻・美穂に支えられて、絵を描いたり文を書いたりしていますが、一向に目が出ず、生活力がないのです。はじめて就職した出版社でも使い物になりませんでした。戦後の法改正で相続した資産も消え、鴎外の印税も期限が切れ、生活が立ち行かなくなります。美穂の発案で、生地千駄木で本屋「千朶書房」(斎藤茂吉の命名)を始めます。類はきょうだいを赤裸々に綴り、姉杏奴には絶縁されます。

美穂は「あなたは生存競争に参加せずに、悠然と暮らしたいだけの人なのよ。森鴎外というお人が充実しすぎていたんだわ。あなた、お父様に全部持って行かれてしまったのよ」と言い、類は「僕の本当の夢。それは何も望まず、達しようとしないことだ。質素にひっそりと暮らすことだ」という。偉大すぎる父を持った、呑気すぎる息子。でも類は周囲の画家、作家に愛されていたようで、引き立てられ、本を数冊残しています。

類は美穂が亡くなって三回忌も待たずに再婚します。1991年80歳で死去。

他に山崎國紀『鴎外の三男坊 森類の生涯』という本もあるようです。朝井はこの本も参考資料に入れています。偉大な父を持ち、戦前から戦後を生きたユニークで個性的な茉莉、杏奴、類をフィクションの形で描きたかったのでしょう。

私は夏目漱石の方が好きで、森鴎外の本は数冊しか読んでいませんし、子供達の本は読んだこともありません。

根津の森鴎外記念館に立ち寄った時も館内のレストランでランチをして、中も見ずに谷根千回りに行ってしまいました。この記念館の場所が森鴎外の屋敷、子供達が育った大邸宅があったところなのです。今度千駄木に行ったら、ぜひ寄ってみようと思います。

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

『キラキラ共和国』小川 糸

作者小川糸は1973年、山形生まれ

『ツバキ文具店』、wako1202.blog50.fc2.com//blog-entry-1018.html
「ライオンのおやつ』、wako1202.blog50.fc2.com//blog-entry-1048.html
『食堂かたつむり』wako1202.blog50.fc2.com//blog-entry-1065.html

の3冊を本ブログにて紹介しました。

本書は『ツバキ文具店』の続編です。『ツバキ文具店』を読んだ後、巻頭にある鎌倉のイラスト地図をスマホに入れて、それを見ながら寺院やお店を辿りました。多分同じことをした読者がたくさんいたことでしょう。

「亡くなった夫からの詫び状、憧れの文豪からの葉書き、大切な人への最後の手紙…。伝えたい思い、聞きたかった言葉。店主・鳩子の「ツバキ文具店」は、今日も大繁盛。バーバラ夫人も、QPちゃんも、守景さんも、みんな元気。」と書かれています。

ツバキ文具店の店主、鳩子がQPちゃんのお父さん守景ミツローさんと結婚しました。QPちゃんも1年生となり、その入学式の日に入籍し、雨宮鳩子から守景鳩子となりました。

変わらない優しいトーンでエピソードをつないでいます。ツバキ文具店同様、観光地ではない、私の大好きな鎌倉のお店や小道が紹介されています。

『ツバキ・・』からずっと違和感があるのがガングロだったという鳩子とちょっと登場した母親のレディーババです。今語られている慎ましやかでたおやかな鳩子とそんな過去が結びつかないのです。祖母かし子が厳しすぎたので家を飛び出したというのがどうも腑に落ちないのです。

祖母と母親との確執については触れられていませんが、続編の『椿ノ恋文』では明らかになるのでしょうか。

鳩子はQPちゃんのお母さんで、ミツローさんの亡き妻美雪さんに手紙を書きます。代書ではない自分のための手紙を書いてボトルに入れました。

小川糸さんの本はどれも優しいです。温かい気持ちにさせてくれます。

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

『塞王の楯』 今村翔吾

2024年、大変な幕開けとなりました。この寒空で被災した能登地方の方々の心痛、困難に胸が痛みます。復興作業も難航しているようです。祈ることしかできません。

被災地から遠い関東で、暮れから正月にかけて今村翔吾の『塞王の楯』を読みました。第166回直木賞受賞作で、552ページの大作で読みでがありました。

作者今村翔吾は1984年京都府生まれ。いま人気の作家で、新聞の連載も書いていますが、初めて読みました。

これは中国の故事成語「矛盾」と同じお話です。塞王とは鉄壁の石垣を積み上げる名人のこと。

匡介(きょうすけ)は一乗谷の戦で父母と妹を失い、塞王と呼ばれていた石垣作りの名人源斎に助けられた。源斎の元で修行を積み、匡介は絶対に破られない石垣「最強の楯」を造れば世から戦をなくせると考えていた。

一方、やはり戦で父を失った鉄砲職人・国友衆の彦九郎(げんくろう)は「どんな城も落とす砲「至高の矛」を造り、その恐怖を天下に知らしめれば、戦をする者はいなくなると考えていた。
「決して使われない砲」を造り出すことこそ戦の抑止力になり、泰平を生み出すと信じて、試行錯誤で大砲を作る。競い合う穴太衆飛田屋(あのうしゅうとびたや)と国友衆。

時は秀吉が死に、天下分け目の関ヶ原前夜。
琵琶湖畔にある近江国大津城の城主・京極高次は蛍大名と陰口を叩かれながらも、家臣、民にたいそう人望があった。高次の妻は信長の妹お市の方の娘、初。

高次は匡介に石垣造りを依頼し、民とともに籠城する。攻め手の石田三成西軍の筑後国の大名・立花宗茂は、彦九郎に鉄砲作りを依頼した。圧倒的軍勢を誇る西軍の砲撃を、命懸けで石垣を築いては、修復を繰り返す守りの大津城。楯と矛の結末は?

「最強の楯」と「至高の矛」の職人の信念、心意気を描いています。

現代もこの穴太衆の石垣の並ぶ滋賀県比叡山坂本は私の大好きな街で、季節を変えて何度か訪れたことがあります。またいつかこの描写を思い出しながら穴太衆の仕事を見てみたいと思います。

時代小説作家の今村は若いのに難しい漢字・語彙をよく知っているなあと感心し、ググりながら読みました。

戦の場面が時代劇ドラマのように情景の浮かぶ小説で、戦国時代は小説のネタの宝庫だと思いました。しかし、その割りには一気読みするようなワクワク感、盛り上がりに欠けていたように思いました。

時間がかかりましたが、面白かったので、読了しました。面白い人物に焦点を当てたと思いました。

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『パシヨン Passion』川越宗一

本書の『パシヨン』は熱情ではなく、受難です。江戸時代はじめの殉教の話です。
作者川越宗一は1978年鹿児島生まれ。

このブログで川越の直木賞受賞作品、アイヌのスペクタクル小説『熱源』を紹介しました。
http://wako1202.blog50.fc2.com/blog-entry-1016.html

本書も壮大な歴史小説です。
殉教といえば遠藤周作の名著『沈黙』が思い出されます。名作と同じ題材に取り組むには何をテーマに誰を主人公にするかが難しいところだったと思います。

「受難(パシヨン)を越えて、求めよ、自由を――。
『熱源』で直木賞を受賞した著者による、新たな到達点!
禁教下における“最後の日本人司祭”となった小西マンショの人生を軸に、異文化同士の出会いと摩擦、争いの中での“希望”を描いた圧巻の歴史小説。」と書かれています。

本年の大河ドラマ「どうする家康」にも登場したキリシタン大名・小西行長。その孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)が本書の主人公です。豊臣側の行長は関ヶ原の戦さに破れて斬首され、彦七の母・マリヤは離縁され、キリシタン迫害から逃れ、彦七を連れて、長崎へ流れてきた。小西家の遺臣の益田源助一家も長崎に逃れ、この地で小西母子に出会う。母にも死なれて、ひとりぼっちになってしまった彦七を貧しいながらも大切に育てていた。遺臣たちは小西家再興の夢を彦七に託す。しかし、彦七はこの地のキリシタンを救うため、司祭になるべくローマへ旅立っていく。

序章 主の孫
「生きるがゆえに重ねた罪は自責と後悔に沈める。赦されることによって、人は生きていかれる」_

第一章 天国の門
「人の生きる道は幾つもある。自由とは常に選びつづけることであろう。選ぶには、そこに道があることを知らねばならぬ。選んでも、歩き方を知らねば、歩けぬ。つまり、知るとは、学ぶとは、自らを自由にするためのもの」

第二章 出日本
「デウスは儂に性(しょう)を「授けたまい、その性を持って儂はデウスにお仕えする道を選んだ。世は万事儘ならぬが、迷いしときこそ己の性に問わねばならぬ」

第三章 ぺティト (求めよ)
自由を求めよと語る天正遺欧使節団の一人原マルチノ。

第四章 走る群雲
第五章 パシヨン(受難)
「なら、俺が赦す。誰が赦さずとも。いや、おまえをいちばん赦していないのは、おまえ自身だろう。だから代わりに俺が赦してやる」

終章 世の終わりまで

主人公の小西彦七と対比するように、のちにキリシタン奉行となった井上政重の、幼少の頃から彦七と線が交わるところまでが描かれています。

本書がどの部分がフィクションなのかわかりません。井上政重の離縁した妻は実際はどうだったのでしょうか。天草四郎時貞(益田四郎)と彦七は本当に接点があったのか。養父源助と四郎が血縁関係にあったのは史実なのでしょうか。

ぜひお読みになってみてください。『沈黙』ほど重くないですが、お勧めしたい本です。

この10月末に潜伏キリシタンの地、平戸、生月島を旅しました。外海(そとみ)の大野集落・出津集落の旅、五島列島をめぐる旅に続く3度目の長崎旅行でした。また長崎と天草を訪れたいと思っています。

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『教誨』柚月裕子

柚月裕子は1968年岩手生まれ。『臨床真理』で「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞。最近とみに売れている作家さんのようですが、初めて読みました。

「事実と真実が反転する、慟哭のラスト!幼女二人を殺めた女性死刑囚、最期の言葉―「約束は守ったよ、褒めて」。」と書かれています。

第1章では吉沢香純は東京拘置所に死刑囚三原響子の遺骨と遺品を受け取るために訪れた。響子の両親はもう他界しており、香純の母静江が響子の従姪にあたるため、拘置所より連絡が来たのだ。響子は香純が子供の頃一度だけ会ったことのある遠縁のお姉さんだ。青森の静かな町、相野町に暮らしていた響子は我が子愛理(8歳)と近くに住んでいた栞ちゃん(5歳)の2人の子供を殺した罪により裁判にかけられた。響子は控訴せず死刑が確定する。10年後東京拘置所で刑が執行されたのだ。

母静江と香純は響子の遺骨を響子の故郷の青森の菩提寺に納骨しようとするが、本家もお寺もそれを拒否する。困惑する香純は体調の良くない静江に代わって、遺骨を持って青森に向かう。

場面は現在の香純と響子の生前の場面が入れ替わって書かれています。響子の、父親のDVや学校でのいじめ、両親、幸せとは言えない結婚生活と男関係、閉鎖的な相野町の様子が描かれています。青森の人が読んだら怒りそうなほど、強い家父長制と相野町の人の無責任な事なかれ主義。

直後から事件を追っていた新聞記者の助けを借りて、香純は事件の真相を追っていきます。響子の「約束は守ったよ、褒めて」はどんな約束だったのか、誰との約束だったのか。

あまりミステリーは読まないのですが、著者がミステリー作家だと知って読んでいったので、その割りには盛り上がりに欠けていたと思いました。雪に閉ざされた地域性を知らないので、相野町の人々の話、故郷を思う気持ちにも今一つ乗れませんでした(理解不足かもしれません)

これは秋田で起きた畠山鈴香の事件を連想させます。真相の真相はなんだったのでしょうね。

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『白鶴亮翅』多和田葉子

著者多和田陽子は1960年東京都生まれ。82年よりドイツに在住し、日本語とドイツ語で作品を手がける。93年『犬婿入り』で芥川賞、 2000年『ヒナギクのお茶の場合』で泉鏡花文学賞、03年『容疑者の夜行列車』で伊藤整文学賞、谷崎潤一郎賞ほか受賞作品多数。今日本人で最もノーベル文学賞に一番近い作家と言われています。

本書は朝日新聞の連載小説でしたが、連載小説は読めない日があると嫌なので、スキップです。単行本で読みました。新聞掲載時から加筆修正しているようです。

「ベルリンで一人暮らしをする美砂は、隣人Mさんに誘われて太極拳学校へ。さまざまな文化的背景の人びととの出会い、第二次大戦前後のドイツと日本の歴史に引き込まれ、名作を女性の視点で読み直す」と書かれています。

小説というよりエッセイのような書き方で、章立てをせずにズルズルと書かれています。

主人公美砂は夫の留学に伴って訪独しました。美砂はドイツに来てから、水を得た魚のように、顔つきから性格まで生き生きとしてきます。そして小規模な映画にも出演するようになります。

それに反し、夫は元気をなくし、精彩を欠くようになっていきます。夫が日本で職を見つけて帰国してからも、美砂はドイツ残留を決めました。実務翻訳をしながら、自分の好きな劇作家ハインリヒ・フォン・クライストの短編戯曲「ロカルノの女乞食」を訳しています。

ベルリンの戸建に引越しをして、隣人Mさんに出会い、Mさんに誘われて太極拳の教室の体験に行きました。そこで先生や生徒のドイツ人やドイツ在住の移民?の人々との交友を温めていきます。
隣人のMさんは美砂の大好きなクライストの全集を持っているのです。

太極拳のチェン先生の指導は上手で、美砂は一つずつ型と体の使い方を学んでいきます。私もジムで体、姿勢の整え方、肩の力を抜くことなど教えてもらっているので、よくわかります。

友達に誘われて「楢山節考(ナラヤマのバラード)」を観に行ったりしています。
美砂の家電は関西弁を喋ったりしています。この家電との会話が美砂の唯一の日本語を話す機会でもあります。

在独日記のような小説で、作者の生活が色濃く反映しているように思われました。長いエッセイを淡々と読んだ気分です。

このブログを下書きのまま放っておいたら、長〜かった夏から一遍に冬の到来です。皆様くれぐれも体調を崩されませんように。

テーマ : 最近読んだ本 - ジャンル : 本・雑誌

またまた写真展のお知らせ

暖かい10月ですね。まだ日中は夏日になります。
芸術の秋、写真でもあちこちで写真展が開催されています。

終わったと思ったらまた次のお知らせです。

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明日から26日まで六本木ミッドタウン富士フィルムフォトサロンにて開催されます。今年は「人間大好き!フォトコンテスト」に出展しました。

このコンテストは今年で終了となります。やはり人物のスナップが取りにくくなったからでしょうか。最初のデビューがここだったので、時代が変わったなあと思いました。

テーマ : 日々のつれづれ - ジャンル : 日記

写真展のお知らせ

2023(第68回)全神奈川写真サロン公募展入賞作品展が本日10日より開催されています。

会場は神奈川県民ホールギャラリー
会期は10月10日(火)〜15日(日)10:00〜18:00 最終日は15:30まで

長かった猛暑がやっと静まり、秋らしくなってきました。昨日搬入展示を終えました。
みなとみらいに散策においでになったらついでに覗いていただけたら嬉しいです。私は最終日に会場におります。

よろしくお願いいたします。
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